JFN Association

全国FM放送協議会(JFN)

「JFN Association」は、JFNネットワーク、及び、加盟38社の各種活動情報(番組、イベント、営業展開等)を掲載しているWeb広報誌です。

CMセミナー2022「谷山雅計氏によるラジオCM徹底批評」

 コロナ禍いまだ収まらぬ7月22日、リモートで38局62名、初の全局参加!で開催されました。
 題して「谷山雅計氏による38局徹底批評!」。
 JFN賞CMコンクールの特別審査員でコピーライターの谷山雅計氏に、全38局のラジオCMについて講評して頂ける機会は、正に“プロの心得”をご教示頂けた価値のある時間でした。
 セミナー冒頭、谷山氏は「自局だけでなく、他局の批評を聞くことが本当に大切」と仰って、コンクール受賞作品はもちろん全局のエントリー作品すべてに丁寧な批評を頂きました。

【講師:谷山雅計(たにやままさかず)氏】
クリエイティブディレクター/コピーライター
東京コピーライターズクラブ会長
1961年大阪府生まれ。1984年東京大学教養学科アメリカ科卒業。同年、博報堂入社。1997年(有)谷山広告設立。
資生堂「TSUBAKI」、東京ガス「ガスパッチョ!」、新潮文庫「Yonda?キャンペーン」、東洋水産「マルちゃん正麺」などを手がける。
著作に「広告コピーってこう書くんだ!読本」「広告コピーってこう書くんだ!相談室」(宣伝会議刊)。
TCC賞、ACC賞、朝日広告賞、毎日広告賞、日経広告賞、新聞協会広告賞、アドフェストグランプリ、カンヌシルバー、クリオゴールド他、多数受賞。

◆ポイント
 各局の作品を紹介しながら、アドバイス、アイディア、制作のポイントなど、独自の目線を織り交ぜながら批評して下さいました。
 一方、局側からは、制作の背景や事情、想いなどを話してもらいつつ進行。

・アイディアが強くなくても、情報の順番付け、強弱の付け方といった「伝え方の整理」で良くなるCMもある。
・制作する過程で、簡単に「自分にOK」を出してしまっていないか?
・タレント起用やシチュエーション設定を、自分の趣味嗜好で広告に使うのは意味がない。伝えるために最適な方法は何かだけを考える。
・企業のスローガンを何の配慮もなく「入れる」だけでは、CM内容とそぐわなくなることにも注意を。

◆主な批評

・FM愛媛【大賞】
実際に収録した言葉を使ったとのことで、徹底的に緻密にこしらえたことが伝わる。(読後感ならぬ)聴後感の「あたたかさ」が秀逸。

・FM大分【第1部門(20秒以内)最優秀賞】
SEの牛の鳴き声、牛の語り、〆の声、アイディア、演出、すべてのパーツが良く、完成度は一番。

・FM鹿児島【第2部門(21秒以上)最優秀賞】【地域ブロック賞】【制作者審査員賞】
局として「チャーミングなCM」を作ろうという姿勢がハッキリしていて好感が持てる。

・FM栃木【特別審査員賞】
伝えたいことを強く伝えるための「パターン利用」が、かなりうまく出来ている。

・広島FM【特別審査員賞】
上質なシリーズの中に「ギャグ」を入れ込む変化球の面白さ。

・FMとやま
テンポの取り方が優秀。独自の聴後感で記憶に残る。

・FM福井
昔話など“ありもの”の形式を借りる場合、借り物の域を出ているか?知恵や工夫をプラスしているか?がポイント。

・FM岡山
会話のシチュエーションの背景を考えていないのがNG。そこを詰めればもっと伝わる力が強くなるはず。

・FM長崎
コピーとスポンサーとの関係が繋がらない。ブリッジする言葉を考え、きっちりスポンサー(商品)に落としてこそプロ。

◆最後に
 今回は、事前に各局から「ラジオCMづくりで一番大切にしているのは○○です」という言葉も送って頂きました。スポンサーや代理店の要望、社内の評価、締め切までの時間など様々な制約ある中でのCMづくり。
 そんな中で“ねばり”と“追求”そして“聴後感”の大切さ。
 制作側の自己満足にならないように、という想いが伝わりました。
 予定時間を大幅に過ぎてまで質問に応えて下さった谷山氏に、改めて御礼申し上げます。ありがとうございました。