毎年7月の恒例イベント・JFN賞。第21回目を迎えた今年は、さらにレベルアップした作品が集まり、
CM部門(第1・第2部門、統一部門)の審査は混戦を極めた。
統一部門は社団法人日本プロサッカーリーグのご協力を得て、各局がそれぞれ工夫を凝らしたコピーが揃い、楽しみながらスタジアム来訪喚起の応援CMを制作した様子がうかがえた。
   
    JFN賞2007 CM部門審査風景   TOKYO FM 代表取締役社長
冨木田 道臣
 

 


CM部門・大賞に輝いたFMぐんま
 JFN賞は、JFN(全国FM放送協議会)が媒体力、社会的影響力アップに貢献し、加盟各社の交流とグループ全体の向上発展と、放送活動並びに新規事業の活性化と質的向上を目指すことを目的として設けられている。 加盟38局が制作した優秀CMを表彰するJFN賞CM部門(CMコンクール)は、1987年から数えて、今年で21回目となった。第1回目から特別審査員として参加いただいているコラムニストの天野祐吉氏をはじめ、コピーライターの小野田隆雄氏、漫画家の弘兼憲史氏の参加も恒例となり、JFNのラジオCM制作における一大イベントとなっている。

  JFN賞CM部門大賞には満場一致で、FMぐんまが自社PRとして制作した「営業案内CM30秒 2万円あれば」(30秒)が選ばれた。「この時代2万円あれば、地球のためにサハラ砂漠に660本の苗を植えられます。2万円あればクラブのママの誕生日に美しい胡蝶蘭をプレゼントできます。2万円あれば売上を上げるためにFMぐんまで、あなたの店のラジオCMが流せます」といったユーモア溢れるコピーをテンポよくつないだ傑作であった。

  第1部門(20秒以内)では、FMとやまの「カチカチ」、FM佐賀の「呼子萬坊いかしゅうまい」の作品が上位を占め、接戦の結果、最優秀賞にはFMとやまの「カチカチ」(田中石材/20秒)が選ばれた。 「『カチカチ』は、シンプルなダジャレをとことん突っ込んで、ダジャレの花を咲かせたおもしろさと軽い感じが良かった」(小野田氏)、「最近のものはコピーの言葉が死んでいる。ツルツルでサーッと流れるような感じで心に届かないものが多い。みんな喋りすぎで、言葉が多すぎて結果的には何にも心に残ってこない。そんな中で『カチカチ』や『呼子萬坊いかしゅうまい「ゲソの歌」』は、旋律が付くことで、言葉が心に響く仕掛けをうまく利用しているCMで、更に、音楽の力を借りたことで、結果的に言葉が生きていたと思う」(天野氏)といった講評があった。 第2部門(21秒以上)では、飲酒運転による交通事故の危険を訴える作品、「赤い記憶」(TOKYO FM)が最優秀賞に輝いた。
 
 


鬼武チェアマンから手渡される
「Jリーグ賞」K−MIX

 統一部門は、社団法人日本プロサッカーリーグのご協力により、各局しのぎを削った作品が数多くエントリーされた。CM制作テーマは、※イレブンミリオン・プロジェクト達成の一助となる、サッカーへの興味喚起、スタジアム来訪喚起のためのラジオCM。統一部門最優秀賞に輝いたJリーグ賞は、K−MIXの「応援したいひとがいる」(20秒)、Jリーグ優秀賞は、広島FMの「そういうのが、いいんだ」(40秒)、Jリーグ特別賞は、fm osaka「俺のクラブ」(60秒)がそれぞれ受賞した。

Jリーグ賞に輝いたK−MIXの作品は、地元クラブに入っている友人や家族など、身近な人達を応援しようというメッセージがJリーグの構想をうまく反映していた内容であった。また、今回のコピーでは、入賞はしなかったもののサッカークラブのない地域がクラブ招致に向けた情熱、切実なメッセージが数多く伝えられた。

※世界のサッカー王国の仲間入りをするためには、1100万人の入場者数が必要だが、日本のサッカースタジアムの入場者数は、年間800万人位である。Jリーグでは今、1100万人の入場者を目指して、「イレブンミリオン・プロジェクト」を展開中。

   


JFN 後藤会長
(社)日本プロサッカーリーグ
リーグプロデュース
グループマネージャー
首藤久雄氏
特別審査委員
弘兼憲史氏
特別審査委員
小野田隆雄氏
特別審査委員長
天野祐吉氏

企画部門大賞に輝いたK−MIX。
GTPの3人(左)

 CM部門、企画部門各賞の表彰は、会場をTOKYO FMホールに移し行われた。
 授賞式に先立ち、後藤亘JFN(全国FM放送協議会)会長は、「JFN賞が始まって早や21年。初回からご参加いただいている天野先生をはじめ、小野田・弘兼両先生、博報堂DYMPならびに博報堂さん、また毎年ご協力いただく協賛スポンサーなど、多くの方々に長い間ご支援いただきながら続けて参りました。本当に感無量です。また、統一部門では今回、社団法人日本プロサッカーリーグ様にご協力いただき、鬼武チェアマンにもご来臨賜り感謝申し上げます。そして、全国の加盟38社のFM各局の社長の方々にも参加いただいております。皆さまに心からお礼申し上げます」と挨拶を述べた。

 続いてCM部門、企画部門各賞の表彰が行われ、受賞した各局の代表者に賞状と賞金、トロフィーが授与された。統一部門で審査員を務めていただいた社団法人日本プロサッカーリーグ、リーグプロデュースグループマネージャーの首藤久雄氏が、「統一部門のCMは素晴らしいものが多く選ぶのに大変苦労しました。今回20秒からはK−MIXの『応援したいひとがいる』を選びました。特に静岡は昔からサッカーをする人が多く、地元のクラブで活躍させている身近な人や友だちを応援しようというメッセージがJリーグの構想をうまく反映していただいたと思います。40秒では女性サポーターの素朴な声、素直な声で表現していただいた広島FMの『そういうのが、いいんだ』に決まり、また、特別賞には、fmosakaの『俺のクラブ』を選びました。これは、サッカーを知らなかった大阪のおっちゃんが、どんどんサッカーにはまっていって、応援しまくるというもので、これも我々が目指すものです」と感想を述べた。鬼武健二チェアマンからも、「各局の皆様から素晴らしいCMをいただいたことに改めて御礼申し上げます」と感謝の意が述べられた。

 また、CM部門の審査に当たった特別審査員の3氏より講評と感想が述べられた。はじめに弘兼憲史氏が、「天野さんが何と21年間審査員を務められたということですが、私がこの審査員を始めたのが40代の後半だったと思います。実はあと2カ月で還暦を迎えますので、僕も随分長く審査員をやらせていただいているんですね。今回、統一部門がJリーグのCMということで、とても楽しみにしていました。実ははじめて知ったのですが、イレブンミリオン・プロジェクトということで、入場者を1100万人にしたらサッカー王国の仲間入りができる。現在は800万人でそれにはあと300万人ほど足りないそうです。そのことを今回のCMではあまり言っていないので、もっとそのことを入れて強調した方が良かったのではと思いました」と感想を語った。

 続いて壇上に上がったコピーライターの小野田隆雄氏は、「JFNのロゴマークの色はブルー、サッカーも青空の下でやるもので、ユニフォームもブルー、青という色はとても印象的です。鮮やかなブルーはとてもきれいなのですが、買いたてのブルーのTシャツは色がきついと思います。何回か着て、洗濯していくうちに丁度いい色合いになっていく。私は青いTシャツにそういうイメージを持っているのですが、広告でも直接的に、買ってください、見てください、好きになってください、というのではなく、程良い間合いみたいなものが必要なのだと思います」と述べた。

 審査委員長を務めたコラムニストの天野祐吉氏は、「今回のCMもかなり良いものが多かったように思います。いつも皆さんが聴いているCMの何とツルツルとしていて心に引っかからないものが多いことか、と思います。すぐ消えてしまうような、つまらない、手垢の付いた言葉が氾濫しています。今日入賞した作品は、一つ一つの言葉にこだわっている。そして特に感心したのは音楽の力で、言葉が一つのリズム、メロディーを持つことで、より深く浸透していくこと、言葉と音楽の関係を立証していたように感じました。延々と審査をやっていると死んでしまう気がしますが、今回も面白いCMが多かったので、ここに生きております。来年ももっと面白い、新しい言葉を取り入れたCMを作って欲しいと思います」と全体の講評を締めくくった。

 続いて企画部門の表彰が行われた。今年度、企画部門にエントリーされた28社49作品の中から、7月4日に開催されたJFN賞選考委員会で、特別賞・優秀賞・奨励賞、そして大賞の各賞が決定した。企画部門の大賞には、K−MIXの「地域密着販促メディア企画GTP『冷凍みかん』キャンペーン」が選ばれた。地元密着の販促メディア作りを目指し、新人アーティストGTPを番組・イベント等で育成していく過程でテレビ・新聞・雑誌・インターネット等の他メディアと戦略的にコラボレーションを図り、未発表曲『冷凍みかん』を、地域発の全国ブランドへと進化・発展。販促メディアとして民放FMラジオ局の実力を大いに証明した成功事例として高く評価され、大賞受賞となった。授賞式にはGTPの3人も登壇し、キャンペーンの様子や苦労話を語った。最後に、JFN賞選考委員会を代表して、委員長の冨木田道臣TOKYOFM代表取締役社長から閉会の挨拶が述べられ、2007年のJFN賞各賞の授賞式は、滞りなく終了した。
 




<受賞作品一覧>
(CM部門)
●大賞
FMぐんま 「営業案内CM30秒 2万円あれば」(FM群馬自社PR/30秒)
●第1部門 ※20秒以内(エントリー数=43本)
最優秀賞
FMとやま 「カチカチ」(田中石材/20秒)
●第2部門 ※21秒以上(エントリー数=30本)
最優秀賞
TOKYO FM 「赤い記憶」((株)エフエム東京/60秒)
●統一部門
※ エントリー数:20秒=38本/40秒=38本 

Jリーグ賞

K-MIX 「応援したいひとがいる」(20秒)

Jリーグ優秀賞

広島FM 「そういうのが、いいんだ」(40秒)

Jリーグ特別賞

fm osaka 「俺のクラブ」(60秒)
●地域ブロック賞
<北海道・東北>
FM岩手 「田中と加藤(通勤)」(IGRいわて銀河鉄道(株)/40秒)
<関東・甲信越・静岡>
TOKYO FM 「父の秘密」(栄光社/20秒)
<中部・北陸>
FM AICHI 「BGM」(自社PRスポット/30秒)
<近畿・中国・四国>
fm osaka 「露天風呂」(びわ湖花街道/20秒)
<九州・沖縄>
FM佐賀 「呼子萬坊いかしゅうまい「ゲソの歌」」((株)萬坊/20秒)
●出演者賞
TOKYO FM 「前世の妻 フランス王妃」(大塚製薬(株)/90秒)
●コピー賞
K-MIX 「サンパ イメージ」(Sympa/20秒)
●制作者審査員賞
FMぐんま 「営業案内CM30秒 2万円あれば」(FM群馬自社PR/30秒)
(企画部門)
●大賞
K-MIX 「地域密着販促メディア企画 GTP『冷凍みかん』キャンペーン」
●優秀賞
AIR-G' 「ほっかいどう宝島」自然を謳うドキュメンタリー番組制作と多メディア展開
FM仙台 「第1回みやぎサバ・メシ コンテスト」
●奨励賞
TOKYO FM 「U2日本公演に於ける新たなエンタテインメントビジネスモデル構築」
K-MIX 「番組の二次利用による新規ビジネスを促進する同録システムの構築」
FM石川 「能登半島地震」に関する一連の報道と「頑張ろう能登」特番の放送
●特別賞
TOKYO FM 「3セグメントマルチメディア放送のスタート」


JFN賞2006の模様はこちら



 

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