毎年7月、JFNの恒例イベントとなっているJFN賞。今年は記念すべき20回目を迎えた。
20年間流してきたCMの持つ意味を考え、CMがリスナー獲得に欠かせないものであることを再認識した大会でもあった。出品作品は高得点を獲得する秀作が揃い、大接戦の部門も続出、 各局のCM制作に対する意気込みが感じられた。
     
   
 

 


 JFN(全国FM放送協議会)は放送活動並びに新規事業の活性化と質的向上を目指すとともに、JFNの媒体力、社会的影響力アップに貢献し、加盟各社の交流とグループ全体の向上発展を目的として、JFNグループ全体の発展に大きく貢献した局を表彰するJFN賞。第1部門、第2部門、統一部門の「CM部門」と、放送活動や事業・営業活動を表彰する「企画部門」の2部門の表彰は7月20日、TOKYOFMホールでとり行われた。

  表彰式に先がけての審査会でも、審査員の方々から、含蓄のある講評が述べられた。特に今年は、1987年の開催から数えて 20回目という記念すべき大会であり、否が応でも各局のCM制作に力が入ったようだ。38局の出品作品は粒が揃い、審査・選出も熱気溢れる状況となった。 今回は、第1回目からずっと特別審査員を務めてこられた天野祐吉氏(コラムニスト)が初めて欠席、代わりに小野田隆雄氏(コピーライター)が審査委員長を 務め、弘兼憲史氏(漫画家)、加盟各社38人の審査員で入選作品の審査にあたった。

  JFN CM大賞にはTOKYO FMの「流星の贈りもの」(KDDI株式会社/120秒)が満場一致で選出された。この作品は、流星が通過した瞬間に、流星から出るガスに電波が反応し て、音が入るのを使ったもの。愛知県に住むアマチュアの天文愛好家が30年近く前に録音していたテープを借りて制作したものだった。ジェットストリームの 城達也氏の声と共に、流星がもたらす宇宙からの贈りものが、聞く人々を悠久の空間へいざなった作品となった。小野田・弘兼両審査員も異口同音に「流星の贈 りもの、これが一番だと思う」と発言。小野田氏は「ラジオの可能性というか夢、スケール観を出していて、これに勝るものはない」と絶賛した。
 
 

 第1部門(20秒以内)では、「近年にない素晴らしいCMが圧倒的に多い」(弘兼氏)と良い作品、レベルの高い作品が揃った。審査の結果、最優秀賞には「個別指導の明光義塾個別メニュー/明光義塾」(FM秋田)が選ばれた。

  第2部門(21秒以上)は、「流星の贈りもの」と大賞を最後まで争った「時報の女/大塚製薬」(TOKYO FM)が最優秀賞に。時報を伝える女性のコミカルな口調と電話をかける男性の絶妙な掛け合いが印象的な作品だった。

統一部門にご協賛いただいたのは、トヨタ自動車株式会社。団塊ジュニアをターゲットにしたクルマ・ラクティスのCMを全社で競った。トヨタ ラクティス賞(20秒)に輝いたのは、「自由と東海道とラクティス」(K-MIX)で、高い走行性能と大容量の室内空間を兼ね備えたクルマというテーマの 意図を的確につかんだ作品だった。

  続いて奨励賞・地域ブロック賞、出演者賞、コピー賞、制作者審査員賞がそれぞれ選ばれた。

 最後に特別審査員の小野田・弘兼氏より総評が述べられた。弘兼氏は、「今回は、ここ数年の中でレベルが高かったという感じがします。ですが、統一部門は規制が多かったので、選考にずいぶん苦しんだということもありましたが、その他の部分では、どれを優秀賞にするかという嬉しい悩みだったような気がします。本当にいい作品が揃って審査員をしても楽しかったと思います」と締めくくった。また、小野田氏は、「本当にいい作品を久々にいっぱい聞かせていただいたという感じです。それぞれのトップ賞は1個なんですけれども、特に今回は、各部門の最優秀賞は2個ずつあげたいな、という気がしました。そういうことが起きたときは、これからはしてあげられればいいなと、思いました」と率直な感想を述べた。
   

 審査会のあと、会場をTOKYO FMホールに移し、CM部門、企画部門各賞の表彰が行われた。
授賞式開催にあたって、はじめに後藤亘JFN会長から「今年はJFN賞が始まって20年、20回目となりますが、企画部門も今年で11回目となりました。これまで博報堂の皆様には大変お世話になってきておりますし、今回はご欠席ですが、19年間審査員を務めてくださった天野さんをはじめ、審査員の皆様、ご協賛をいただいているスポンサーの方々に、改めてお礼申し上げます。近年、FMラジオの広告費が減ったと言われています。広告費が少なくなったことは事実でありますが、我々のメディアが本質的に低下しているのではないと思います。逆に我々の今までのあり方についての自己反省が足りないという自己批判からスタートしていかなければ、前進がないのかなと思っております。今後いずれデジタルへと転換して行くわけですが、その道筋の 5年の間に、38局がどういう形でアップグレードになるか、ということがテーマではないかと思って、皆様方と力を合わせてやっていきたいと考えております」と挨拶した。

 続いてCM部門ならびに企画部門各賞の発表と表彰が行われた。受賞した各局の代表者が賞状とトロフィーを受け取った。ま た、審査に当たった特別審査員の2氏より講評と感想が述べられた。はじめに漫画家の弘兼憲史氏が、「近年にない非常に素晴らしい作品が集まったという印象 です。特に大賞を取ったTOKYO FMの「流星の贈りもの」という作品には大変感動しました。音源は愛知県にいらっしゃる高校教師の方が持っていたものを借りに行って作られたもので、音 質、城達也さんのナレーション、音楽、これが丁度我々世代が若い頃に聞いたあの番組の懐かしさと相まって、胸にジーンとくる気がしました。実は来年、私は 還暦を迎えるのですが、ラジオっ子で子どもの頃からずっと深夜放送を聞いていました。そのおじさん達が定年を迎えて、それまでは明日会社があるから早く寝 なきゃ、といっていたのが、これから夜更かしできる時代になります。そうするとこれからは若い人たちだけでなく、「ラジオ深夜便」のような番組が民放で作 られるようになる。そうすると自ずから、それに対するCMが必要となってくる。30代、40代の若いディレクターが高齢者向けの番組を作ることは難しい。 そうなってくると、定年後の我々団塊の世代の出番ではないか、と期待しています」と述べた。

 最後に審査委員長を務めたコピーライターの小野田隆雄氏は、「この審査は北海道から沖縄まであるので、できるだけ多くの地 域の方が賞をとってくれればいいな、と思いながら審査をしているのですが、一極集中的になってしまいました。例えば、福岡県で流す放送を博多弁だけでやっ ていても、多分つまらないだろう。かといって、東京で流しているものと同じものを流してもそれも違うのだろう。では何があるのかというと、その土地の風 土、歴史があり、その中から出てくる人情みたいなものがある。日本は江戸時代までは全国的に人口が分散していて、そこで地方文化が培われていたと思うので す。そういう地方文化が各局で作るラジオCMに反映されてくれば、結構強いものが出てくるのではないか。東京を中心とした中央でラジオコマーシャルを作る 人たちに勝つ方法が、そこにあるんじゃないかと思います。地方の良さを単純に言葉や名産ではなく、そこに生きている人間たちに戻したところでコマーシャル を作ると、結構良いものができるのではないかと思います」と感想を締めくくった。
 




<受賞作品一覧>
FM秋田
(CM部門)
●大賞
TOKYO FM 「流星の贈りもの」(KDDI株式会社/120秒)
●第1部門 ※20秒以内(エントリー数=54本)
最優秀賞
FMとやま 「個別指導の明光義塾 個別メニュー」(明光義塾/20秒)
●第2部門 ※21秒以上(エントリー数=28本)
最優秀賞
TOKYO FM 「時報の女」(大塚製薬株式会社/90秒)
●統一部門
※ エントリー数:20秒=38本 

トヨタ ラクティス賞

KーMIX 「自由と東海道とラクティス」 (奨励賞)
●地域ブロック賞
<北海道・東北>
 AIRーG’  
<関東・甲信越・静岡>
 Radio Berry  
<中部・北陸>
 FM AICHI  
<近畿・中国・四国>
 fm osaka  
<九州・沖縄>
 FM長崎  
●出演者賞
 FM沖縄  
●コピー賞
 FM AICHI  
●制作者審査員賞
 TOKYO FM  
(企画部門)
●大賞
TOKYO FM 「SCHOOL OF LOCK!〜不登校リスナーの生きる音〜」
●優秀賞
fm osaka 「サワディー・プーケット・フェスタ イン パトンビーチ」
KーMIX 「津波および気象警報の自動放送システム」
●奨励賞
AIRーG’ 「商品の売れ行きが大幅UP!イオンショッピングセンター “コレット・アレット探検隊”
《消費者を動かすモニター型宣伝施策》」
FM沖縄 「観光立県オキナワ〜美ら島 その未来〜」
「ポッドキャストCMバンクサーバー(Auto Editing CM Bank Server(=エイブス)事業)」
FM福井 「全開!福井あばさけビジネス道」
●特別賞
TOKYO FM 「ザ・ライン〜僕たちの境界線〜」


JFN賞2005の模様はこちら



 


■アースコンシャス募金(アースデー・コンサート関連での募金を含む)から、毎日新聞社のMOTTAINAI事務局へ寄付 金1,320,469円を贈呈しました。セレモニーは7月11日(火)14:00から毎日新聞本社で、毎日新聞社 北村正任社長、全国FM放送協議会 冨木田道臣副会長/TOKYO FM代表取締役社長による寄付金目録贈呈式が行われました。

■JFNアースコンシャス募金「ジャワ島中部地震 子供支援」への呼びかけで集まった義援金2,996,231円を、財団法人日本ユニセフ協会へ贈呈しました。セレモニーは、9月12日(火)15:00か ら財団法人日本ユニセフ協会で、財団法人日本ユニセフ協会 早水 研専務理事、全国FM放送協議会 高橋大平事務局部長による義援金目録贈呈式が行われ、JFNに感謝状が贈られました。

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